©Miura Mariko
©Miura Mariko
“新しい日常”に贈る “ミュージカル的ダンス・パフォーマンス”
振付・演出家、白神ももこのもと、シュールな感性と叙情をないまぜにした独自の作品世界を展開するモモンガ・コンプレックスによる新作公演。
「観察型ミュージカル的ダンス・パフォーマンス」と銘打たれた本作は、集まることが当たり前ではなくなった今この時にこそ、「上演」や「個と全体/集団」の意味を、ユーモアを持って問い直そうとする。エリアやタイムラインで区切られたパフォーマンスは、『伊勢物語』を始めとする歌物語の構成を意識したもの。西井夕紀子を音楽監督に迎えつづられるスケッチ(場面)を、観客は自由に観覧し、つなぎ、物語を紡いでいく。そこにはきっと、別々の、離れた存在どうしであるからこそ生み出される表現、人との出会い方、つながり方への希望が見出せるはずだ。
|アーティスト・コメント
春、ひとり。
することもなくただぼんやり川を眺めていたある日、それまでの日常が訓練というものの連続だったことに気がついた。自分の部屋の小さな窓から忙しなく無情に通り過ぎる日々を眺めて思い出したりもした。早く起きる訓練、速く 歩く訓練、共通の言葉を話せるようになる訓練、大きな声を出す訓練、耐える訓練、誰かの指示に従い順応する訓練。
訓練と学びの喜びを履き違えていた。
わたしたちは、踊っている。
踊らされているのではない。
河原にしぶとくほうぼうに生える野草のように、わたしたちは、そろっている。
行く水と 過ぐるよはひと 散る花と
いづれ待ててふ ことを聞くらむ
(『伊勢物語』より)
白神ももこ