白神ももこブログ
『Open the Doorーダンスの時間ー』(2025.3.8-9)について

*キラリかげき団の公演も終わり、富士見市民文化会館キラリふじみという公共ホールとの直接的な関係がこれで一段落したので、いろいろ冷静にそして記録・記憶として書き綴ってみようと思う。

 

始めに、これは私、白神ももこが2019年〜2024年まで富士見市民文化会館キラリふじみ芸術監督としての活動とその前(2006年ごろ)からキラリンクカンパニーやアソシエイトアーティストなど、劇場とアーティストの関わりの年月の集大成としての公演『Open the Door~ダンスの時間〜』の記録です。

まずは前提として、どんなことを芸術監督としての6年間でやろうとしてたかというと、

  • 空間を活かし、遊ぶ
  • すでにある企画や劇場として持っている財産としての人脈を繋げていく
  • ダンスを軸にしているが、単にジャンルで分けず、全てを「表現」として今できるそれぞれの得意分野を交わらせていく

このくらいだったと思う。私の持ち味としては何かすごいもの事を取り寄せたり、新しいものを提供することというよりは、今ここにある素材や空間を有効的に組み合わせて活かしていくことなので、自ずとそうなったようなところもある。このことを軸に『モガ渓谷』『モガ惑星』『幻想曲』などの企画が立ち上がっていった。

そして、最初の3年間は演劇の劇作家・演出家の田上豊と2人体制だったことも、ダンスや演劇などのミックス要素が色濃くなったことに大きく影響している。

 

『Open the Door-ダンスの時間』に話を戻すと、

私たちの前に芸術監督であった多田淳之介さんが2013年に始めた「キラリふじみこどもステーション」(月一で芸術監督と小学生たちで何かして遊ぶ!とにかく遊ぶ!という企画)と、2021年から私が独自で始めた「ダンスの時間」(月一の誰でも参加可能なダンスワークショップ)をする中で、劇場に来る人びととの関わりの中で何ができていったのか、個人のアーティストにどんな影響があったのか、客席のあり方自体への問いかけや公共ホールと地域との関係性などにもフォーカスが及ぶ公演になったと思う。

実を言うと、最初はこの「こどもステーション」に関して、芸術監督としてこどもたちと対面するまでは、その必要性や意義のようなものを特に実感していなかった。いざ、こどもたちの中に入って自由に遊ぶことで、人間としての関わり方や、劇場に通うというシンプルな習慣のすごさ、この劇場に何が必要なのか、などが見えて来て正直私自身への学びが大きかったのだ。ここに集まる小学生たちに普段遊びに来ている劇場で色んな大人に会ってもらおうとキラリふじみダンスカフェ(アトリエや野外を利用したダンス企画)に来ているアーティストになるべく会ってもらったり、劇場のバックステージツアーを組み込ませたり、公演後に公演写真を見せてして工作の種などにした。もちろん強制ではなくなるべく自由にラフに、そこにあるものとして自然に触れてもらうことを心がけた。時に特別ここでしか会えないんだよ!ということも強調させながら。

このこどもステーションからは、多田空之介くんと空之介くんからスカウトされた井戸綾乃さんが出演してくれた。こどもステーションの中でも中心的な存在で、ムードメーカーであり、一年生の時からずっと参加してくれていた。2人は、出演だけでなく本番の観客席との間を繋いでくれたり、こどもステーションOB.OGへのインタビューでもインタビュアーとしても活躍してくれた。

リハーサルの様子。舞台美術は長峰麻貴さん。 客席に置いてある箱をお客さんに運んで来てもらってスクリーンが完成する仕組み

2006年に全館巡るバックステージツアーをやった時に一緒に出演してくれていた召田実子さんに映像と出演をお願いした。

 

「ダンスの時間」では、西井あずささんとそのお母さんのさやかさんとの出会いが大きかった。加えてそこに毎回コンスタントに来てくれて、息子さんをこどもステーションにも参加させたり、すでに劇場の企画に多く参加してくださっていた雪竹ますみさんの存在によって、近所の大人の見守りにも似た安心感が生まれていた。ますみさんは、市内の特別支援学校の図書館の司書をされていたこともあり、そこの生徒さんがふいに1人で「ダンスの時間」に来てくれたりするのだが(これもなんか珍しくてすごいことらしく、ダンスの時間の謎の引力かもしれない)、「あれ!図書館の先生がいる!」となっていて普段とは違う場での出会いがあるのも面白かった。絵本専門士でもあるますみさんには途中、こどもステーションの写真からみんなの言葉を募って作った絵本の読み聞かせもしてもらって、それがかなり大人気の時間となった。

こう考えると「こどもステーション」「ダンスの時間」どちらの企画も劇場(公共ホール)というものが一握りのアーティストや何かのお教室の発表のためだけでなく、日常的な「自分たちの場」としても捉えていける最大の仕掛けであり、広場の機能を持っていたように思う。

そんな「広場」に訪れてくれていたキーパーソンたちを迎え、そのキーパーソンたちが客席と舞台の間を行き来して繋いでくれたこと、こどもステーションのこどもたちを客席に巻き込んだこと、今までこどもたちや地域の人びとと近しく親しんでくれていたアーティストやスタッフたちの存在、そんなアーティストたちが客席にもいたこと、いろいろな奇跡が重なっての公演だった。

出演していた側が言うのはなんなので誰かにもっと考察していただきたい気もするが、あの舞台というか、あの客席の状態は、長い時をかけて恐らくキラリふじみという公共ホールが歴代芸術監督と地道に作り上げて来た「作品」でもあると感じたのだった。

余談になるかもだが、観客席にいるはずの小学2年生が思わずカーテンコールに踊り出てきたのをきっかけに、観客席からこの劇場に関わった(と思っている)人たちが一斉に出て来てお辞儀するという信じられないようなできごとと、その後リハーサルもしていないのにその人たちと一緒にメインホールの箱を運びながら踊りながら退場していったことも忘れられない景色である。

つづく(かもしれない)

メインホールホワイエではこどもステーション展を開催。写真やこどもたちの作品の他に、普段の遊びも展開された。

 

フライヤービジュアルは、水色デザインさんによるもの。「ダンスの時間」の企画が始まった頃の小学2年生のあずささんの踊る後ろ姿がメインビジュアルに。

本番の様子やクリエーションの様子はまた少しずつ更新していけたらと思う。

 

公演詳細

『Open the Doorーダンスの時間ー』

2025年3月8日(土)〜9日(日)15:00開演(14:00会場)

会場:富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ メインホール

構成・演出・出演:白神ももこ

出演

井戸綾乃 多田空之介 西井あずさ 雪竹ますみ ほか

スタッフ

美術:長峰麻貴
照明:有限会社創光房
音響:熊谷健
映像:召田実子
衣裳:臼井梨恵
演出助手:仁科幸
舞台監督:原口佳子

こどもステーション担当:大道朋奈
映像記録:前田直也

宣伝美術:水色デザイン

票券:塚田智大(キラリふじみ)
制作:加藤仲葉/中出千尋(キラリふじみ)

企画・製作 富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ
主催 公益財団法人キラリ財団
助成 文化庁 文化芸術振興費補助金
劇場・音楽堂等機能強化推進事業(地域の中核劇場・音楽堂等活性化事業)

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『花売の縁オン(ザ)ライン』でした。

那覇文化芸術劇場なはーと 出会いシリーズ2『花売の縁オン(ザ)ライン』無事に終演し、一ヶ月とちょっとの沖縄滞在を終えて東京に戻ってきました。

観に来てくださった皆さま、気にかけてくださった皆さまありがとうございました。そして、キャスト、スタッフ含めたくさんの方々が知性とセンスと能力を諦めることなく注いでくださったことに感謝しています。

企画の土屋さん、シマシマ企画の島袋さんには2月のリサーチの時いやそれ以上前から最後の日まで大変お世話になりました。

なんだかいろいろなことが泡となって消えないうちに今回のことを書いておこうと思いました。(長くなりそう、気をつけて!あと、誤字脱字とか語尾の不揃いとか堪忍な)

この作品は沖縄公演のみでしたので、観れなかった方も多かったと思うので少し解説。元になった組踊の『花売の縁』という演目は、高宮城親雲上という人の作品で、失踪した父親探しに出た母と息子が父を探して主にその親子の再会が描かれていて、その道中に猿回しの芸人に会ったり(猿引き)、その父親の居所を知っている老人(薪取り)に会う、みたいな話です。(ざっくり)

私が思うポイントとしてはこの演目は、中心から少し外れた人たちが出てくる。首里などではなく大宜味村という沖縄の北部の地域が描かれ、生活が苦しい落ちぶれた士族の家族(核家族が描かれていることもポイントby兼島氏)、旅の芸人、お年寄り、という特に力を持たぬ普通のひとたち。複雑な構成でも華やかなわけでもないですが、道行きの情景の美しさが琉歌の八八八六調のリズムにのってゆったり染み入ってくる体感型の作品。(だなと初見は思いました)

戦後すぐに収容所で上演され人々の心を癒した、沖縄の人たちにとってとても大切な作品でもあります。そんな大切な作品をよそ者の私が関わって何かして良いものかどうか、、と引き受けたものの最初は悩みもしましたが、、とりあえず風のまにまに(クロスプレイ東松山)の教訓で、外から来たものとして風を送り込む役割と思って挑みました。

で、

引き受けてからは、組踊そのものや琉舞の身体、そして組踊『花売の縁』と同時に沖縄・琉球のリサーチ・研究の日々が始まった。かと思いきや、否、むしろその辺のことはそこそこに兼島拓也研究が忙しくなったのは言うまでもなくw『ライカムで待っとく』はもちろん、ラジオドラマがあると言えば聴き、過去作品を読み返し、対談や彼が読んだと言う本は一通り読む努力(読んだところで追い付きはしない)、彼の劇団であるチョコ泥棒とそのメンバーについて、兼島さんと話して漏れ出る好物やオモシロワードを心のメモに刻んでいった。オタク気質なのでオタクよろしく。それは大げさですけど。(その後、俳優さんのリサーチも加わってきてこれも出会いシリーズの醍醐味だなと)

そうそう、物語の舞台となった塩屋リサーチは本当に充実していた。それは、なはーと公式サイトの兼島拓也による現地リサーチ・レポートを見てください。廃墟とか。

 

ただ何回目かの兼島さんとの逢瀬で、脚本の構想を聞いて「おやおや?」となり、脚本の第一稿が上がって来た時、あまりの濃密さとぶっとびに歯が抜けそうになった。なんだこれは。おい、話が違うぞ、兼島。

『花売の縁オン(ザ)ライン』は組踊『花売の縁』のストーリーにもう一つの異人館ストーリーが加わり、組踊を介して歴史から見た琉球の立場や欧州、中国、日本の思惑に翻弄される琉球・そして今にも通ずる沖縄の物語。異人館の要素として経済、アヘン、テレグラフなどの要素が渦巻き、人物もペリー、ラッセン、ノストラダムス、ジョン万次郎を始めとした各種ジョン、小野妹子、などが同時に出てくるスチームパンク的な設定。

私、歴史は好きなんですが、、テレグラフとか経済に一切興味がなかったので、第一稿を読んだときは何も分からず青ざめたわけ。台詞は面白かったんだけどね。。なんのことかさっぱりとなって8月の顔合わせと読み合わせ時点では発言だけははっきりとしていましたが、始終ハッタリで押し通し、舞台美術、衣装、音楽の打合せになっても何も確かな確信を持っていない状況だった。(爆)

そうしたみっちみちの情報量の脚本ではあるけれど、この劇作家の言葉と姿勢、作品の面白さは確かなもので、沖縄を描くことすなわち世界を描くことと感じた。で、私みたいなテレグラフなんかに興味ないわ、、、と情報量に諦めてしまいそうな人も楽しく観られるようにするのが感覚ビジュアル系としての私の仕事だわ!とこのみちみちの戯曲にすき間を適宜開け、プスプスと風を通して、兼島さんと共に美術の鈴木さん、音楽のjujumoさん、衣装のAco Miyagiさん、照明の棚原さんなどと協力して時間を紡いでいく作業が主になったと思う。

そして全体的に舞台上の身体の存在のさせ方として、組踊の身体にゆるさとおさえた表現が拮抗して存在すること、がまくと呼ばれる上半身の部分を繊細に使うことで、感情や俳優の状態が変わることなどを8月の神谷武史さんのレクチャーを通して体感、そして間近でその身体を観られたことがとても助けになりました。ここがポイントだと。(トークでお伝えしそびれて記憶を改ざんしたいほど悔やんでいる)

神谷武史さんによるレクチャー。歩き方や振る舞いを教えていただきとても良き時間でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

不安に思っていた稽古は始まってみるととても楽しく、6名の俳優それぞれの色が全然違って、たくさんアイデアを各々の角度から提供してくれた。時間がない中、特に滞ることなく快活に進んだ。更に、音楽のjujumoさんが来る度に思いもしないアイデアと楽器と雑貨各種をもってきてくれて、違法建築のごとく独自の広がりと連なりと面白さが増した。

プロデューサーお手製の小道具類と共にjujumoさんが持って来てくれたひょうたんヘッドホン

チョコ泥棒流寝稽古中 乙樽&鶴松

兼島さんと共通するところとして『こうあるべき』が強くなるとそこにいられなくなる人ができてしまうことをお互い分かって創作している気がして、それは兼島さんの保育園を経営していた経歴やチョコ泥棒での積み重ねと元々が持つ大らかさによるものではと思いました。

ラストを単なるハッピーエンドにしないという作家としての姿勢にも貫かれたものを感じています。

私は、といえば、主に屁の如くプップとすきま風を入れていき、小ネタ大ネタと美しい情景を差し挟み、差し挟んでははしゃいでニタニタゲラゲラする日々だった気もする。。

なんの取り柄もないと思っていたけれど、、ん?そうだ、きっと私の一見無意味かつ無駄と思える言動はほぼ屁のようなものかもしれない。(最近詩人に読ませてもらった詩の影響かもしれない)

急に極端な表現になってしまったけれど、私たちは社会や世界にすき間風を作って生きやすくする役目があると改めて思ったという展開です。そしてそのすきま風は時に強くそしてゆるく、出るときは出るのだと毅然としている。まるで、屁。

そして、、、変な比喩になってしまうけど、安心して屁ができる空間すなわち劇場の意義。

 

わかった。(なにが)

 

私たちにできることは、「踊らされること」と「忘れられること」。そして、「時に屁をこくこと(さまざまなスピードと形で)」と追加しておこう。

勝手に。

 

公演写真と公演パンフレットがなはーとの公式サイト【こちら】に上がっていますのでぜひチェックしてみてください アイデアにんべんさんのデザインも大好き。

 

本当に大好きな座組の皆さま。ラブ

 

あなたとわたしのA&Wを確かめに。モモコン北川は、お芝居あまりしないのに台詞頑張ってくれた。あとアシスタント。もう、足を向けて眠れない。

プロデューサーの土屋わかこさんから教えてもらい、琉球舞踊のワークショップへ。猿の踊りおしえていただきました。

本番前のなんかの時間。

みんな元気でかわいいメンバー。らぶ

かわいいw

一応、振付の仕事も。笠の段本当に素敵だったよ。

猿の二人もかわいかった。

かわいいnew 感謝

jujumoさんの島。コンセプトは違法建築だそう。

イケメン森川氏と謎の小学生味ある鶴松、そして衣装のAcoさんw

メイクの友寄さん。メイクの力を感じました。

宣伝美術のアイデアにんべんさんにいただいたステッカーと台本。ずっと作品に寄り添ってくださってありがたかった。

プロデューサー力作の道具。すごすぎ。らぶ

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2021年。

2021年、明けましておめでとうございます。

いつもお世話になっている方々、ありがとうございます。

2020年はてんやわんやで、丁寧どころかバタバタと過ごしてしまいました。

今年はきちんとやって来たことを記録していきたいと考えています。

少しずつ。記録することがとても苦手ではありますが、それでも見えるようにしていかなければどんどん風化していってしまう、コロナもあってそう思いました。

特に、昨年の年明けにキラリふじみで行った『幻想曲』などはコロナ禍の今、、ほぼ幻想となってしまったように思います。もうあのような作品は作れないかもしれない、と思っていると暢気な私でも危機感を覚えました。

私の作品は売れるようなものではなく、再演もいつも難しいものです。

先日の『幻想曲』、モモンガ・コンプレックス『わたしたちは、そろっている。』は恐らく再演が難しい作品です。

なので、この作品を近々しっかり振りかえってここに記しておきたいと考えています。

というわけで、本年もどうかどうかよろしくお願いいたします。

白神ももこ

844A92046E3A26866E3A2649

撮影:キラリふじみ・ダンスカフェ スペシャルコラボレーション『幻想曲』富士見市民文化会館キラリふじみマルチホール ©Miura Mariko

★844A5407mm のコピー★6E3A5367mm のコピー

Festival/Tokyo20 『わたしたちは、そろっている。』東京芸術劇場シアターイースト©Miura Mariko

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キラリふじみ「モガ渓谷」の記録②

ライブ配信への振り切り!

4月終わりのzoom会議であった。緊急事態宣言も発令されこのまま見通しが不安になっていた。

最初は、手作りマスクをみんなでするとか空間をソーシャルディスタンスを保てる仕組みを、、などと話し合っていたのだが、もうそもそも子どもたちに来てもらう前提で作ると後々中止等に追い込まれたりするのではないだろうか??というところから配信にすることを提案。

配信といっても単なる映像作品にしたものを配信することには魅力を感じていなかったし、配信コンテンツはもう溢れて飽和していた。

なるべくフェスティバルに参加しているような感覚で、楽しめるよう、カメラマンはプロではなく田上と白神が観客として撮り、感想やコメントを言う形式にしたらどうか、ということになった。

「集まれないのなら、web上に集まるのはどうか?」

モガ渓谷のwebサイト

毎月やっていたこどもステーションも中止になり、5月のこどもステーションは私たち芸術監督と文通をするということだった。そのこともあり、子どもたちからモガ渓谷にいそうなヘンテコな生き物や地図などを募集してみんなでモガ渓谷という場所を作って行くことにした。webサイトはフライヤーデザインをお願いしていた水色デザインさんとアグネス吉井の白井愛咲さんに急きょお願いした。まずは生き物や地図の絵の例を良くキラリふじみを利用してくださるお子さまやご両親に協力して描いてもらった。その後徐々に投稿が増えて行き、小学校が始まった時に広報をしたら倍になった。小学生だけではなく未就学児から大人までが幅広く投稿してくださった。自由に描いていいと言うところと、芸術監督が必ずコメントをした。後々は追い付かなくなって、出演者にもコメントをしてもらい、モガ出演者とお客さんを繋いでいった。

モガ渓谷サイトの画像

モガ渓谷webサイトは最終日このようにweb上でもたくさんのアイデアが集まった景色に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後々、モガ渓谷の踊りや音楽を集めたいとも思っていた。

どうしたらハードルの高い踊りや音楽が応募しやすいかということも課題だったが、誰かが描いたヘンテコな生き物から着想した動きや音楽やオリジナルの動きや音楽どちらでも良くした。

募集動画【動き】↓

募集動画【音楽】↓

 

思っていたよりもたくさんの投稿があり、知らない誰かと誰かとの共同制作が行われていた。コロナ禍で集まってワークショップなどの共同制作ができない中で、新しいやり方を見出していたと思う。

ー配信のハードルー

配信する、カメラマンは田上と白神でやる、にしても配信の技術に無知であった。

そのため、富士見市民でもありモーメント・ファクトリーのクリエイターでもある前田直也さんに仲間になってもらうことにした。

下見でお会いしたのが6月4日だったから、本当に一ヶ月前という直前で申し訳なかった。前田さんなしではどうにもこうにもだったが、最初はできないと思っていたことを可能にし、臨機応変にやりたいことを実現させてくださり、当日はお仲間を3名(カメラマンなど映像の仕事をやっている方々で面白そうだからとボランティアで来てくださった)も連れて来てくださった。皆さん、アイデアマンたちで、ハンディカメラの電波がどうしても届かない三角形エリアをどうにかするために車等の日よけみたいなものを反射版のように持ってくれたり、カメラの後ろには見えないけどいろいろ試行錯誤してくださっていて、まるで昔テレビができたばかりの時の撮影(知らないけど)みたいだった。そもそも最初が「完璧な映像作品というより、テレビができた頃のようなローテクで面白いアイデアで頑張ってる感」というのがやりたかったので、真骨頂だったかもしれない。

カメラもハンディだけでなく、空間ややりたいことを読み取って定点カメラをメイン会場である展示会議室に3台、音楽ライブがあるコリドーに1台用意してくださった。

前田さんには、「これ、映像スタッフ一人でできるもんじゃなかったね、、」と言われたけど、皆さん埼玉の方々で、新しいことにウキウキしてくださったのがありがたかった。本当に感謝でしかない。

ー音響ー

配信の壁はもう一つあった。

音の問題だ。音楽のライブを予定していたから音楽をそのままカメラから録ったものを配信すると低音が全く消えてしまい、すかすかな音になってしまう。

さらに、台詞や歌はどうしても聞こえづらくなってしまったり切り替えたカメラによって遅れてしまったり、するのだ。

更に、メイン会場の展示会議室の反響が酷く、音の抜け的にも野外経験のある清野美土さん的にも外が良いだろう、ということでライブ会場はマルチホール前のガラスの壁を開けてコリドーで行うことになった。

これはダンスをやっている私はかなり盲点だった。甘かったことを反省している。急きょ、ダンスカフェでかえるPで来てくれていた大園康司さんが音響として入ってくれた。彼にもかなり感謝している。

 

配信に切り替わったことで、空間や演目も変更してもらう。

ー美術ー

お客さんを入れて客席も含めての空間だったところをカメラで録るロケ地的な空間にしてもらう。

演劇やダンスなどもあるため、段差や床等の工夫、カメラに録ると面白いであろう空間にしてもらう。大きく3つの空間で構成され、穴というコンセプトから菜種(富士見では菜の花畑に力を入れている)でできた穴、古墳も多いことから古墳イメージの段差のある空間、大きなばかでかい三角形の空間。

菜種は、砂よりも踊りやすいし、中の黄色い円が少し出てくるのも面白かった。

廊下やアトリエには瓶にさした草花。草花は近くの時田農園さんから頂く。

この辺り、長峰さんさすがだな、と思う。菜種エリアモガ△の断片モガ長峰さんモガ

↑長峰さん、Facebookより拝借。

ー演目についてー

中身はだいたい変わらないようにということであったが、映像向けにするための試行錯誤は各団体あった。

モモコンは、場所は一カ所にしたためだいたい普通にお客さんを入れる演目と一緒だったが、定点だと退屈してしまう内容なため、カメラマンの私が移動したりすることで臨場感を出した。曖昧さもカメラでは伝わらないのではっきり間を持たせたり空間を遊ぶようにした。

田上パルは、俳優がカメラを持つという設定を劇中に組み込み、上手く演出していてアングルなども凝っていた。俳優と一緒に作っている、新たな配信の試みでもあると感じた。一番綿密だったかと思う。

ぶんがくざこどもげきも定点ではなくハンディで追うことやお芝居の導入や場面事にテロップを俳優が出しに行ったりゼラをつかったりとかなり工夫されていた。ここは、田上がカメラを回していて、文学座の斉藤祐一さんと二人三脚で行っていた。田上は、休憩中も暇さえあれば文学座のカメラ練習をしていて自分の作品よりも練習していたかもしれない。

笠井瑞丈×奥山ばらばは、当初お願いしていた白塗り講座も快くやってくだっさり、映像にして差し込みにしてくれた。屋上やキラリふじみをまんべんなく使った映像ならではの構成でもあった。また、とんでもない演出を劇場側も映像の前田さんも理解しトライしてくださったのも大きい。このチームは私がカメラを担当。思うままに追いかけることができ、カメラにハマりそうだ。

アグネス吉井は、ワークショップで呼んでいたので頭を悩ませたと思う。募集した地図を使ってゲーム実況をアナログでやるというアイデアは、webを担当して地図の使い途を考えてくれた白井さんならではでもある。ここは田上、白神がカメラを回しつつ途中でバトンタッチしてアグネス吉井の沿うワークショップを受けたりする場面も。

ミュージシャンたちは清野美土さん中心にモガ渓谷用に新曲を作ってくれたのと、モモコン、田上パル、笠井×奥山チームそれぞれに参加してくださり、かなりの登場率だった。音響大園さんともゲネプロなどから綿密に表現したいことをやり取りして配信の弊害を少しでもなくす努力をしてくださった。

このようなところから、日々積み重ね、慣れない映像配信を行った。

制作スタッフや舞台監督の連携もかなり重要であり、そういう意味では現場の団結力が必須な状況であった。

その中で、感染防止用の対策→前半、後半と入り時間を分けたり、随時アルコールで拭く、前半はリモート会議をしリハーサルや下見は半分の人数で行う、ライブ中はなるべく密をさけた配置で水辺等も使用、着替えの入れ替えなどの徹底もあったため、普段より格段気を使うことも多かった。

このコロナ禍で劇場や舞台業界が危機に立たされている中で、私たちにどんな可能性が残されているのか、どのように可能性を見出して行けば良いのかを考えて開発し、トライしていけたのがこの「モガ渓谷」だった。例え親子向けとは言えど、未来のために私たちは何を示していくのか、どうあって欲しいのか、を大人が汗をかいて次へ引き継いで行かねばならないと思っている。

 

とはいえ、新しいことにわくわくし、楽しくスリリングな時間だった。

そして、この企画は田上豊と芸術監督二人体制だったからできたことだと思う。

モガ舞踏

撮影:三浦麻旅子 幻想曲からお世話になっている三浦さんにも急きょ来ていただき写真を撮っていただきました。

麻貴さん

長峰さんFacebookより

モガモモコン

モモコンのはじまり。白神がカメラを回す。 黄色い三角形の前!

モガ体操中

休憩あけ、田上とヘンテコ図鑑でTumigiさんが投稿してくれたモガ体操。

 

写真がまた届いたら、アップしたいと思います。いい景色いっぱい。

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キラリふじみ「モガ渓谷」の記録①

2020年7月10日〜12日にキラリふじみよりライブ配信された親子向け企画、『モガ渓谷〜記憶はだいたい蜃気楼(穴あき谷のおまつり編)〜』がどのような経緯と過程をたどって行われたのか、自分の記録として書き留めておこうと思う。

いつも、バッタバタで終わって流れてしまいがちだが、今回のコロナ禍での企画変更、今までキラリふじみで行われて来たこと、どのようなことに重点を置いていたかを書き留めておくことで今後の何かにもまた役立てられる気がしたからだ。

①そもそもの企画主旨は親子向けのフェスティバル

もともとは、4月〜8月までマルチホールとメインホールという主要劇場が改修工事中で劇場が使えず、それまでの期間で展示会議室という展示や会議ができる多目的なスペースを活用して夏の親子向けの企画をやるということで、演劇、ダンス、音楽、工作ワークショップなどができる一日中遊べる空間、小規模なフェスティバルとして行う予定だった。

タイトルの中の「モガ」は2011年に田上豊テキスト、白神構成・演出で行った劇場ツア−型のパフォーマンスで、キラリふじみの空間全てを使った公演だった。(その時のサブタイトルは「記憶はだいたい憶測」で、劇場を脳内と見立てて作品にした)

「渓谷」はキラリふじみのかたちが谷のようであることや、元々場所としては海だったということもあり、低い位置にあること、そして、だた、「明るくて楽しい!」だけではない「謎」も潜めた演目をラインナップしたかったので渓谷にした。

記憶はだいたい蜃気楼は、夏だと思うので蜃気楼の中の記憶がイメージ。

(穴あき谷のおまつり編)は、公共ホールではあるものの、その日だけは穴あき=アナーキーで自由な空間、子どもたちの自由な発想、いかたを推奨したいと思ったので付けたサブのサブのタイトル。これは、前芸術監督の多田淳之介氏が始めたこどもステーションの影響もあって、子どもを指導してある一定の成果を求めるようなワークショップが多い中、何をやるのかさえも自分たちで考えられる、子どもたちにゆだねる時間を田上も私も一年間経験したからであった。

ラインナップについては、演劇が田上パル、ダンスはモモンガ・コンプレックスになることは決まっていたので、そこからのバランスで田上パルはオリジナルの作品になるので、ぶんがくざこどもげきにシェイクスピアの「テンペスト」を白神が以前振付もしたこともありやってもらうことにした。ぶんがくざこどもげきは、座の俳優たちが立ち上げていてこどもフェスティバルは手作り感満載で人気が高い。他にも防災を演劇にしたり様々なアイデアをトップダウンではなく自分たちで企画し試行錯誤して活動していることが、今回の穴あき谷のおまつりとしても良いと思った。

ダンス方面では、モモコンがどうしても女子でポップな印象があるので、大人の男性、そして子ども向けには少し遠い印象の笠井瑞丈さんと奥山ばらばさんという舞踏のお二人にきてもらうことにした。お二人とも別のタイミングではあったけどダンスカフェに来てくれたこともあり、笠井さんは一昨年度に松本じろさんとセッションを、奥山ばらばさんは昨年度(2020年2月)にきたまりさんとのデュオで来てくださったばかりでしたが、何となくキラリの勝手も分かってくださってる&モモコンにはない破天荒ぶりが期待されたため、お呼びした。もう一つはアグネス吉井の二人。このお二人もダンスカフェにて、パフォーマンスと「沿う」「巡礼」などを用いて観客とワークショップをしてくれて、新たなダンスカフェの形式を編み出してくださったお二人で、すぐできて世界の違う見方を楽しく体感できるとして、ワークショップをしてもらう予定でお呼びした。

あとは音楽が単純にあると空間として締まると思い、清野美土さん(ハモニカ)にお願いした。この方も、「幻想曲」や前回のモガ!にも出演してくれてて、馴染みがある。あまり子ども向けとは思えない存在ではあるが、純粋に子どもが(お遊戯感覚ではなく)ギャンギャンに踊れる音楽性を持っていると感じていた。清野さんは、岩見継吾さん(bass)、服部正嗣さん(drum)をキラリふじみに引き合わせてくれた。

空間

空間は、長峰麻貴さんにお願いした。以前長峰さんが久留米シティプラザでやっていた親子向けの企画、びよよよん王国(地元の産業を活かした素材で空間を作って一日中遊べるパフォーミング空間を作っていた)が素敵だと思っていたので、富士見市にあるなにか素材を使った空間ができないか?ということでお願いし、子どもたちにも作れる何かワークショップ的なこともやっていただこうとしていた。

 

ここまでが、最初のモガ。

この後、コロナ感染症の影響で対策を迫られることになる。

ここからの転換とスーパー人力ライブ配信になった経緯は次の②へ。。。

つづく

 

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