2020年7月10日〜12日にキラリふじみよりライブ配信された親子向け企画、『モガ渓谷〜記憶はだいたい蜃気楼(穴あき谷のおまつり編)〜』がどのような経緯と過程をたどって行われたのか、自分の記録として書き留めておこうと思う。

いつも、バッタバタで終わって流れてしまいがちだが、今回のコロナ禍での企画変更、今までキラリふじみで行われて来たこと、どのようなことに重点を置いていたかを書き留めておくことで今後の何かにもまた役立てられる気がしたからだ。

①そもそもの企画主旨は親子向けのフェスティバル

もともとは、4月〜8月までマルチホールとメインホールという主要劇場が改修工事中で劇場が使えず、それまでの期間で展示会議室という展示や会議ができる多目的なスペースを活用して夏の親子向けの企画をやるということで、演劇、ダンス、音楽、工作ワークショップなどができる一日中遊べる空間、小規模なフェスティバルとして行う予定だった。

タイトルの中の「モガ」は2011年に田上豊テキスト、白神構成・演出で行った劇場ツア−型のパフォーマンスで、キラリふじみの空間全てを使った公演だった。(その時のサブタイトルは「記憶はだいたい憶測」で、劇場を脳内と見立てて作品にした)

「渓谷」はキラリふじみのかたちが谷のようであることや、元々場所としては海だったということもあり、低い位置にあること、そして、だた、「明るくて楽しい!」だけではない「謎」も潜めた演目をラインナップしたかったので渓谷にした。

記憶はだいたい蜃気楼は、夏だと思うので蜃気楼の中の記憶がイメージ。

(穴あき谷のおまつり編)は、公共ホールではあるものの、その日だけは穴あき=アナーキーで自由な空間、子どもたちの自由な発想、いかたを推奨したいと思ったので付けたサブのサブのタイトル。これは、前芸術監督の多田淳之介氏が始めたこどもステーションの影響もあって、子どもを指導してある一定の成果を求めるようなワークショップが多い中、何をやるのかさえも自分たちで考えられる、子どもたちにゆだねる時間を田上も私も一年間経験したからであった。

ラインナップについては、演劇が田上パル、ダンスはモモンガ・コンプレックスになることは決まっていたので、そこからのバランスで田上パルはオリジナルの作品になるので、ぶんがくざこどもげきにシェイクスピアの「テンペスト」を白神が以前振付もしたこともありやってもらうことにした。ぶんがくざこどもげきは、座の俳優たちが立ち上げていてこどもフェスティバルは手作り感満載で人気が高い。他にも防災を演劇にしたり様々なアイデアをトップダウンではなく自分たちで企画し試行錯誤して活動していることが、今回の穴あき谷のおまつりとしても良いと思った。

ダンス方面では、モモコンがどうしても女子でポップな印象があるので、大人の男性、そして子ども向けには少し遠い印象の笠井瑞丈さんと奥山ばらばさんという舞踏のお二人にきてもらうことにした。お二人とも別のタイミングではあったけどダンスカフェに来てくれたこともあり、笠井さんは一昨年度に松本じろさんとセッションを、奥山ばらばさんは昨年度(2020年2月)にきたまりさんとのデュオで来てくださったばかりでしたが、何となくキラリの勝手も分かってくださってる&モモコンにはない破天荒ぶりが期待されたため、お呼びした。もう一つはアグネス吉井の二人。このお二人もダンスカフェにて、パフォーマンスと「沿う」「巡礼」などを用いて観客とワークショップをしてくれて、新たなダンスカフェの形式を編み出してくださったお二人で、すぐできて世界の違う見方を楽しく体感できるとして、ワークショップをしてもらう予定でお呼びした。

あとは音楽が単純にあると空間として締まると思い、清野美土さん(ハモニカ)にお願いした。この方も、「幻想曲」や前回のモガ!にも出演してくれてて、馴染みがある。あまり子ども向けとは思えない存在ではあるが、純粋に子どもが(お遊戯感覚ではなく)ギャンギャンに踊れる音楽性を持っていると感じていた。清野さんは、岩見継吾さん(bass)、服部正嗣さん(drum)をキラリふじみに引き合わせてくれた。

空間

空間は、長峰麻貴さんにお願いした。以前長峰さんが久留米シティプラザでやっていた親子向けの企画、びよよよん王国(地元の産業を活かした素材で空間を作って一日中遊べるパフォーミング空間を作っていた)が素敵だと思っていたので、富士見市にあるなにか素材を使った空間ができないか?ということでお願いし、子どもたちにも作れる何かワークショップ的なこともやっていただこうとしていた。

 

ここまでが、最初のモガ。

この後、コロナ感染症の影響で対策を迫られることになる。

ここからの転換とスーパー人力ライブ配信になった経緯は次の②へ。。。

つづく